両親にも行き先を告げずにイラクへ行った米フロリダ州の高校生ファリス・ハッサン君(16歳)が1月2日、無事に帰国した。
ハッサン君は高校で潜入ジャーナリズムについて学びイラク行きを決心。両親にも黙ったまま自分のお金で航空券を買い、12月11日に出発した。12月13日にクウェートに着いてから初めて両親に連絡をした。もっとも、クウェートからのイラク入国には国境で拒否されて失敗。ベイルート、レバノン経由でクリスマスに空路バグダッド入りした。
私が想像するに、彼にとって幸運だったのはイラク人に見えることだ。彼自身はアメリカ生まれで当然アラビア語も話せないが両親はイラク出身。苗字だってウィリアムズとかじゃなくてハッサンだ。何も話さないで服装にも気を使えばイラク人に見えないこともないだろう。
それでもずっと黙っているわけにはいかない。混雑する市場でアラビア語の会話集を取り出す危険に気づき、27日になってAP通信のバグダッド支局を訪問。自分は両親にも言わずにバグダッドにやってきたと話したため、AP通信が大使館に連絡、軍用機でクウェートに連れ出された末にアメリカに帰国したというのが一部始終だ。
印象的なのは、マイアミ国際空港から自宅へ帰る父親の車の中でAP通信の電話取材に応じたハッサン君が語ったセリフだ。「僕がどんなに嬉しがっているかを知ってもらいたいんだ。マスコミはとても、とっても僕に親切だった」
日本だったらどうだろう?「自己責任」「まだ高校生なのだから保護者の責任」「学校の指導方法に問題はなかったのか」などという議論が延々と続きそうだ。アメリカでもこれからそういう議論が始まるのだろうか。何はともあれ、ハッサン君が無事に帰国できてよかった。
【参考】
Boy, 16, smiling at end of his Iraq escapade(Miami Herald)
US teenager home after Iraq trip (BBC)