書き出しから「デービッド・ベッカムとルックスを比較されるブルガリア生まれの琴欧州は、相撲の世界にセックスアピールをもたらした」ときたもんだ。記事の中のほうで、再び「モデルのような笑顔と胸毛のある琴欧州を、日本のメディアは角界のデービッド・ベッカムだと伝えてきた」とある。
ふうん、あたしゃ琴欧州が角界のベッカムだなんてこれまで一度だって聞いたことはなく、このニュースで初めて知ったよ。いったいどこのメディアがそんなこと言っているのだろうと興味津々でググッたら、日刊スポーツの「琴欧州は角界のベッカム」欧州でも反響
という記事が見つかった。でも、待てよ、これだって21日付の英紙デーリーテレグラフが「角界のベッカム」「革命的な新しいヒーロー」と伝えているというのをニュースにして取り上げているだけだ。
じゃあってんで、そのデーリーテレグラフの記事Adoring Japanese hail 'European prince of sumo'を見つけた。あたしって恐ろしくヒマ人だな(きょうはこれで3本目のエントリーだし)。で、この記事は結構ムッとする書き出しなのだ。いわく「1500年もの間、相撲はファンさえもがハンサムには程遠いと認める太ったアジア人に独占されてきた」と始まり、まるで琴欧州という1人のニューヒーローのおかげで相撲のイメージがガラッと変わったかのような論調なのだ。
フンと鼻を鳴らしながら読み進む。3段落目に「これまで相撲を見なかった人の間にもファンを増やしていることから、角界のベッカムと言われている」と出てくる。結局のところ、誰が「角界のベッカム」と言っているのかは明記されていない。
こうやって「日本のメディアが『角界のベッカム』としている」とか「海外のメディアが『角界のベッカム』と伝えた」とか堂々巡りをしているうちに、言いだしっぺの分からない「角界のベッカム」は既成事実になるのかもしれない。琴欧州って日本ではまだそこまで騒がれていない気がしていたので、海外での関心の高さがかなり意外だった。