2005年05月11日

迷子クジラの末路

 東京湾に出没してゴールデンウィークの話題になったコククジラが定置網にかかって死んでいるのが見つかった。きのうまでは「きょうは横須賀沖で発見されました」と興奮気味に伝えられていたのが、これ以上利用できないとなると、やけにあっさりしたもんだ。

 NHKに出ていた専門家は、網に追い込まれて呼吸ができなくなった窒息死だと説明していたが、朝日新聞では「死因は溺死」としている。考えてみればどっちも同じことなんだろうけど、クジラが溺死するっていうのはものすごく間抜けな響きだ。最後までかわいそうだったな、このクジラ。

 もともと陸上では子供たちが「クジラさ〜ん」と叫び、海上ではテレビ局のスタッフが乗っているらしい船が集音マイクを差し伸べながらクジラに接近。空からもヘリコプターで追い回していた。どうみても陸海空からクジラ狩りをしているようにしか見えなかった。

 テレビや新聞ではこの期間中、クジラの健康を案ずる報道なんて一切見た記憶がない。私のようなシロウトが「東京湾みたいに水がよどんでいて船の交通量が多いところにいて大丈夫なんだろうか。誘導できないもんかね」と思っていても、テレビに出てきた専門家は「そのうち外洋に戻っていくと思いますよ」とか話していて、報道は押しなべて楽観的だった。

 タマちゃんやこのクジラなど、野生の動物がとんでもない所に現れると皆で興奮してはしゃぎ回る風潮って、どこか狂っているような気がする。 
posted by らくだ at 21:11 | 東京 ☁ | Comment(14) | TrackBack(5) | 話題 | 更新情報をチェックする