しかも「120億ドルの基金を設立して被害者を支援する」などと語ったものだから、そんなことをちっとも計画していないダウ・ケミカルもいい恥をかいた。新たな支援にぬか喜びしたボパールの人たちには悪いけど、なんだか楽しい話だ。いかにもイギリスって感じ。
犯人は企業犯罪の追求を掲げている「The Yes Men」というグループで、ウェブサイトには今回の「事件」についての説明もある。BBCの人はインターネットで広報担当者の連絡先を調べて偽サイトに行き着いたらしい。こういうのも、最近流行のフィッシング(pfishing)の一種といえるのかも。
ちなみにDow Chemicalでググると、12月6日夜現在は当然ながら本家本元がトップに表示される。このThe Yes Menのサイトはちゃっかり3番目に入っている。この人たち、自分の話したことが天下のBBCを通じて世界に流されてさぞかし痛快だったに違いない。
BBCのサイトにはこの件の説明がみつからない。ちょっと遅すぎたかな。その代わりに、おもしろい視点の記事をみつけた。世帯あたり2200−6600ドルの損害保障金を受け取ったボパールの被害者たちは、家を新築したり、車やバイクを買ったりと、ちょっとした消費ブームになっているとか。4日付の日経新聞がニューデリー発(要するに現地に行っていない)で、「被害者への保障も十分ではなく、史上最悪の産業事故は今も地域に暗い影を落としている」と紋切り型の記事になっていたのとは対照的で、興味深く読んだ。