2004年11月27日

「テレビの嘘を見破る」

テレビの嘘を見破る 久しぶりに最近読んだ本を紹介する。「テレビの嘘を見破る」今野勉・新潮新書(本体700円)。著者はテレビマンユニオンの役員で、 テレビ業界の視点からドキュメンタリーの「やらせ」「再現」「演出」を考察している。  最初はふむふむと読み始めたのだが、読み終わってあまりスッキリしなかった。というのも、 作り手と視聴者の間にある意識の大きな格差を感じてしまったから。単純な私なんて、 テレビで見ている順番で真実の物語が展開していると信じてテレビを見ているクチだから、 これからテレビでドキュメンタリーをみるたびにいちいち見方が懐疑的になりそうだ。   著者のいうことにも一理ある。厳密な意味でのドキュメンタリーというのはそれこそ「行き当たりばったり」的な撮影になるはず。 それじゃ企画も何もあったものじゃない。つまり、事実を後になってから再現してそれを撮ることも必要だろう。

 それじゃ、どこまでが許容範囲なのか。著者はそういう議論は不毛とみなして「伝えたいことがあれば、 そのために考えられるありとあらゆる最善の方法を考える、というのが作り手の原点」だと言い切る。う〜ん、そうだとしたら、 ドキュメンタリーはジャーナリズムではなくて芸術なのかもしれない。「感動を与えたり受けたりするためには、お互い少々の悪事、 不正に目をつぶるという作り手と見る側の共犯関係が存在するのも厳然たる事実」と言われてもねぇ。 勝手に共犯者にしないでくれと言いたくもなる。

 また、著者は「やらせ」はバレナイと断言する。NHKのムスタンでやらせが発覚したのは、 不満を抱いた現地スタッフが朝日新聞の記者にちくったからだ。

 全体的なテーマを一言でまとめると、「事実の意味が正しく伝われば、それがどのように記録されたかは問題ではない」ということ。書名の 「テレビの嘘を見破る」と内容がチグハグに感じた。このようなタイトルをつければ書店で目を引いて売れるだとうという安易な (編集者や営業サイトの)発想だとしたら、ちょっと酷すぎる。

posted by らくだ at 21:19 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評・芸能など | 更新情報をチェックする
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