この2人はアウン・ン・スーチーの影にかくれてあまり知られていないけど、それだけに悲惨といえるかもしれない。かなり厳しい拷問を受けたらしいとは聞いた。私の旅行がちょっとずれて今ビルマにいればなぁ。いろんな人の意見が聞けるたのに。ちょっと残念だ。
ビルマではいろんな人といろんな話をした。政治の話はタブーだと思い込んでいたのに、向こうから飛び込んできた。まず、空港ビルを出て最初にあったタクシーの客引き。「Welcome to Burma」と言われて「なんでミャンマーと言わないの?」と突っ込んだら、プッと吹き出すふりをして「ミャンマーなんていうのは政府の役人だけ」とキッパリ言い切った。それからあわてて周りを警戒する振りをしてみせニヤリ。
町を歩いていても、私が日本人だと分かって「日本は民主制なんでしょ」と聞いてくる人も。ミン・コウ・ナインらが逮捕されるきっかけとなった88年の革命後、「大学が閉鎖されちゃったので、大学に行けなかった。だからロクな職業に就けない」と話してくれた人もいた。
単なる旅人の印象だけど、アウンサン・スーチーは少し求心力をなくしているのではないかなぁ。海外からの投資も観光客もシャットアウトすることで政府の生命線を断ち切ろうという彼女のやり方に反対だとして「ビルマは十分に貧しいのに、さらに立ち遅れてしまうのではないか」と危惧する人もいたし。
スーチーを絶対的に支持しているという人には意地悪な質問をしてみた。「彼女は海外から観光に来ないでくださいと言ってますよね。彼女の言うことを聞いて私が来なかったら、こうして意見を交換することもできなかったし、それを日本に持ち帰って伝えることもできないわけでしょ」と言ってみた。明確な答えは返ってこなかった。
みんなが聞きたがったのは、キン・ニュン前首相の更迭がどのように伝えられたか。「保守化が一層進み、民主化が遠のくという論調で統一されていた」と説明したら、ほとんどの人は「何も変わらないと思う。だって、これ以上悪くなりようがないんだから」と言っていたっけ。だから、きょうのミン・コウ・ナイン釈放のニュースをどう解釈すればいいのか、正直言って私には分からない。