ちょっと前の話だ。私は業務である人に電話をかけた。日本に住む日本人で、日本企業で働いている人だ。仮にその人をAさんとしよう。ヨーロッパでのある商品の話だった。このAさん、私が「ユーロ」と言うたびに、訂正するわけじゃないんだけど話を遮って「オイロ」といい直す。たとえばこんな風に。
私:「X商品の後継モデルがYですよね。Xが165ユーロだったってことは、Yはもう少し…」最後まで言わないうちに
A:さん 「Xは165オイロでした」
最初、Aさんがヨーロッパ共通通貨の「ユーロ」をドイツ語読みで「オイロ」と言ったのだと理解するまで、数秒かかった。それから、最後までAさんはず〜っと「オイロ」で会話を通した。というか、私がユーロと言うのを待ち構えているように、すべてオイロといい直された。
影響されやすい私がつられてつい「じゃ、最終的には200オイロになるということでいいんですか?」と口走ったら、Aさんの態度が急に変わった。それまで「はい」とか「ええ」など同意の言葉を一切言わなかった彼女が急によそよそしさが消え、「はい、おっしゃると〜りですっ」と急に親しみを込めた話し方になったのだ(単に気のせいかもしれないけど)。私が「オイロ」って言ったのがそんなに嬉しかったのかね。
大人気ないかもしれないけど、あまりいい気分はしなかった。日本人同士で話すのになんでドイツ語読みしなくちゃいけないのさ?(言いたかったけど言えなかった) Aさんはイギリス人やアメリカ人が相手でも「オイロ」って言うのかちょっと聞きたい気もした(もちろん、こちらも勇気がなくて聞けなかった)。1ドルのことを「イチダラーです」なんて言う人がいたらかなり嫌味に感じるし、なんか気恥ずかしい。日本人同士でオイロっていうのも大して変わらないように感じた。
なんでこんなことを思い出したかっていうと、BBCの記事で、
ユーロについて自分の表現にこだわる人はあちこちにいるんだなぁと思った次の瞬間、数年忘れていたAさんのことを思い出したから。ただし、このニュースは読み方じゃなくてスペルの問題。EUではユーロのスペルをEUROにすることで合意しているはずなのに、ことし新規加盟したラトビアとハンガリーが反旗を翻した。ラトビアはeiro、ハンガリーはeurooとつづるのが慣例で、これを変えるつもりはないそう。スロベニア(evro)とリトアニア(euras)は、国内ではそれぞれ独自のスペルを続けながら、EUの公式文書の翻訳ではeuroとつづる妥協案で合意したとか。
posted by らくだ at 23:44
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