2004年09月22日

危険人物とみなされたキャット・スティーブンス

 キャット・スティーブンスといえば、私だって名前だけは知っているアーティスト(っていうか歌手)。名前だけじゃなくて、代表曲の「雨にぬれた朝」もCMに使われたから聞き覚えがある。

 そのスティーブンス、1977年にイスラム教に改宗して名前もユセフ・イスラムに変えていた。全然知らなかった。そんな人がなぜ話題になったかっていうと、ロンドンから米ワシントンにUA919便で向かっていたところ、米当局の「監視リスト」の一種に名前が載っていることが判明、飛行機は1000キロ離れたメーン州にダイバートし、スティーブンスは入国を拒否された。(BBC

 米当局は入国を拒否した理由を詳しく述べていない。スティーブンスは4年前にはイスラム兵士を支援したとしてイスラエルから追放されているそうで、これが「監視リスト」に載った理由かな。人気歌手が富と名声を捨ててイスラム教徒に改宗、ロンドンでイスラム教の学校を建てて、布教や教育に携わっているっていうだけでビックリだ。元有名歌手の人生模様っていう点では田代まさしなんかよりもずっと興味深い。

【追記】AP通信の22日の報道。ある当局者が複数の諜報機関の見方として話たところによると、スティーブンスはテロリストの可能性がある人物と関係している恐れがある。別の当局者によると、93年にワールドトレードセンター爆発事件を起こした犯人やハマスに資金提供している疑いもあるという。(元記事

 BBCによると、23日に英国に戻ったスティーブンスはヒースロー空港で記者会見し、「おかしい。私は慈善活動によって知られているのだから(米当局は)何らかの説明をすべきだ」と述べた。FBIに身柄を拘束されていたときの扱いは丁重だったとか。
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ラザーゲートの顛末

 米CBSテレビの名アンカー、ダン・ラザーの威信が地に落ちている。ジャーナリスト生命の危機にあるといったほうがいいかな。いわゆるラザーゲートというやつだ(アメリカではスキャンダルがあると、ウォーターゲートにあやかってモニカゲートなどなにかとゲートをつけたがる)。

 ブッシュに不利な報道をしたものの、その後ろ盾となっていた情報の信憑性が疑わしいことを認め、CBSともども謝罪したのだ(ラザーの声明)(CBSのまとめサイト) 

 9月8日に放送された「60ミニッツ」で、ラザーはブッシュがテキサス州兵だったときに上官がブッシュへの特別な配慮を要求されていたという疑惑を伝えた。その裏づけとなったメモはブッシュの上司(故人)が書いたものとされていた。ところが、番組が終わってから、「あのメモは当時は存在しなかったマイクロソフトのワードで書かれたものに違いない」という情報がネット上をかけめぐる。(ワシントンポストによる検証

 メモを書いた張本人は死んでいるものの、当時の秘書は「内容は上司の認識と同じだといえるが、私はこの文書をタイプしていない」と証言、一気に形勢が悪くなった。

 追跡番組で明らかになったのは、情報提供者がこのメモは「ほかの州兵から入手した」とウソをついていたこと(本人は入手先を明らかにするうえで誘導されたように感じている)、放送前に情報の真偽をCBSが確認するはずと思い込んでいたことだ。一方のラザーもCBSが確認すべきだったと認めているというのだから、お粗末というよりない。

 リベラル派の中には「真偽が確認できないからといってニセモノとは限らない」という声もあるけど、ちょっとその言い分は説得力に欠ける。

【関連エントリー】
ダン・ラザー降板のモヤモヤ(11月24日)
posted by らくだ at 00:20 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア | 更新情報をチェックする