こういうときにいつも引っかかるのは、アナウンサーが「農作物」を「のうさくぶつ」と言うこと。いつからだろう? 私が子供のときは「のうさくもつ」と読むと教わったし、テストでも読みが問題になったもんだ。いま広辞苑を引くと「のうさくもつ」では調べられない。「のうさくぶつ」の項に「のうさくもつ」(ともいう)と出ているだけだ。
「初孫」もそう。私が知っている限りでは「ういまご」だったのにいつの間にかみんな「はつまご」と読んでいる。「ちょっと待ってよ! あたしに何の相談もなく!」といいたい。高校とか大学入試では紛らわしい漢字の読みがよく出題され、この「初孫」もテストに出たことがある。出題者の意図は「はつまご」と書かせて引っ掛けようというわけ。当時は「はつまご」と書いたらバツだった。
ちなみに「初産」を広辞苑で調べると「ういざん」でも「はつざん」でも載っている。「しょざん」とも言うとか。へ〜というしかない。「ういざん」なんて読むとひょっとしておばあちゃん扱いかな?
若かりしころにこういう漢字の読みを一生懸命覚えた努力は一体なんだったのだろう? 高校時代の学力テストで「好々爺」の読みが出た。読みどころか意味も分からなかった私は「すきすきじい」と回答した。素直に読んだつもりなのに、しばらくは校内笑い者にされたっけ。卒業後も何年か伝説になっていたと聞いた。負け惜しみでいわせてもらうと、大人になっても「好々爺」なんてことば一度も使っていない。