白骨温泉に始まったニセモノ温泉問題、伊香保、水上その他へと広がっている。温泉サイトを運営している身からすれば全く嘆かわしい状況といえるのだが、心の片隅では「ようやくこの業界のダークな部分に光が当たってきた」という気がしないでもない。
というのも、私は学生時代の冬休みにアルバイトで2週間ほど温泉旅館の仲居をやり、温泉旅館というものにすっかり幻滅した経験があるからだ。もちろん私のバイト先が例外的に異常だった可能性はあるけど、このところの一連の騒動をみていると、どうもそうじゃなさそうだ。
私がバイトした温泉旅館、まず最初に研修がある。そこで支配人から細かく指導された。
「たとえばお刺身に髪の毛が入っているのがバレてお客さんから取り替えるように言われたとする。その場合は『申し訳ございません。すぐに取り替えさせていただきます』と言っていったん奥に引っ込み、髪の毛を取り除いたら盛り付けを少し変えて出すように。髪の毛を取り除いただけだと、同じものだとバレるから注意すること」
これだけならまだいい。自分で担当の部屋を持つ前、ベテラン仲居さんの後について見習いをする。私の指導係のキクさんときたら、何を拭くのもダスターと呼んでいる台拭きだ。灰皿を拭いたかと思ったら、今度はコップを拭いて「消毒済み」の紙を巻いている。こっちは「ちょちょちょちょっと…キクさんそれ、灰皿を…」と青ざめたけど、キクさんときたら「いいのよ。分からないんだから。ダスターだって洗えば一緒でしょ」と笑う。そういう問題かぁ?
あのときは心底怖くなったね。トイレだって消毒済みなんて帯をつけるけど、私が働いていた2週間の間、消毒なんてしたこと1度もなかった。経営者も従業員も根底にある考え方は同じ。「客にバレなければどれだけ手を抜いても、何をしてもいい」。それで客からチップもらって当然ていう顔をしているんだからタチが悪い。おまけにバイト仲間で従業員用の温泉に入っていたらオヤジがのぞきに来た…。
それ以来、温泉旅館にはほとんど泊まっていない。その私がなぜか温泉サイトを運営しているけど、入浴は日帰りが中心で泊まるのはビジネスホテルが多い。旅館に泊まるとしても温泉仲間から情報を仕入れて1万円以下で確実なところにしている。何万円も出してあんな目に遭いたくないもん。
ここ数日、温泉旅館の人たち(私がバイトしたところとは全く関係ないとはいえ)が「これまで客からクレームがないから悪いことをしたとは思っていない」とか「腰の痛いのが直ったというお客さんもいたんですよ」とか言っているのを聞いて昔のバイト先の苦い思い出が蘇った。あたしって何で温泉サイトなんてやってるんだろう? 懲りていないのかな。
【関連バックナンバー】
白骨温泉とマスコミ(7月24日)
草津温泉ハップ(7月15日)
posted by らくだ at 23:57
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